棟方志功展の混雑状況、巡回情報、チケット・展示構成/東京国立近代美術館,2023

美術展 国内作家

現在、東京国立近代美術館で開催されている「棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」へ出かけてきました。生誕120周年を記念した展覧会です。棟方のゆかりのある青森、富山を巡回し、東京は巡回の最後の開催地になります。棟方志功の生涯を一望できる展覧会です。

「棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」の開催概要

  • 会場 東京国立近代美術館
  • 期間 2023年10月6日(金)~12月3日(日)
  • 開館時間 10:00~18:00(最終入場30分前)
  • 休館日 月曜日

「棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」の入場料など

  • 一般 1,800円
  • 大学生 1,200円
  • 高校生 700円
  • 中学生以下無料
  • 図録 2,800円
  • PVCポーチ 1,980円
  • A4クリアファイル 495円
  • 亀井堂小瓦せんべい 1,404円

「棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」の展示構成

プロローグ 出発地・青森

青森地方裁判所の給仕をつとめながら絵を描いていた、20代の頃の作品が展示されています。

青森県立美術館収蔵の、20代の貴重な油絵。絵画への熱い思いが伝わってきました。

 

第1章 東京の青森人

青森から東京へと住まいを移し、東京で活動を始めた頃の作品が展示されています。1928年、油彩で帝展に入選したあと、版画による創作活動を始めました。

ここでは、創作の場が、油彩から版画へと移り変わり、棟方の才能が開花する過程を間近に見ることができます。民藝運動と出会い、50図からなる連作から、徐々に版が大きくなっていきます。《東北経鬼門譜》(1937)のもつパワーにぜひ触れてほしいです。

 

第2章 暮らし・信仰・風土―富山・福光

東京空襲が激しくなり、1945年に富山県の福光市(現・南砺市)へ疎開し、1951年に東京へ戻りました。富山県滞在時に制作した作品が展示されています。

作品のダイナミックさが増し、裏彩色を施した色彩豊かな作品が生まれたのがこの頃です。《鐘溪頌》(1945)は、ヴェネツィア・ビエンナーレで、⽇本⼈初の国際版画⼤賞を受賞した作品の一つ。棟方のデザイナーとしての才能が伝わってくる作品です。

 

第3章 東京/青森の国際人

東京へ戻り、数々の賞を受賞した頃の作品が展示されています。

海外で数々の賞を受賞した棟方が、出版ブームの流れに乗り時代の寵児となる過程が分かる展示です。《花矢の柵》(1961)は、とても大きな作品。この大きさの板を彫るなんて、想像しただけで気が遠くなります。文様や生き物を図案化し、密度高く構成したデザインにも注目です。

 

第4章 生き続けるムナカタ・イメージ

主に自画像や、肖像写真などが展示されています。また、NHKのアーカイブ映像で、制作中の様子やインタビューなどを見ることができます。

《自画像》(1964)が印象的でした。荒い筆致と、カラフルな色遣い。浮かび上がる、丸眼鏡の自画像。世界に名が知れ渡ってもなお、板画の道を究め、高めようとする情熱が伝わってきました。

「棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」の感想

〇 絵葉書から大壁画へ

版画は、板を彫って制作します。

棟方は、自ら「板画」と名付け、黒と白の木版画の可能性を追究しました。

はがきサイズでも労を要しますが、棟方の作品は、どんどん拡大していき、大壁画サイズにまで到達しました。

濱田庄司や柳宗悦に見出され、「屏風」という表現方法を得たことが大きなきっかけとなりました。

棟方の創作意欲と情熱に圧倒された展覧会でした。

 

〇 黒と白の可能性

今回の展覧会では、矩形の中に、きっちりと対象を収めるデザイン性の高さが目を引きました。

たくさんの要素が、一つの画面に凝縮されていて、鑑賞者に力強く迫ってきます。

また、黒と白のバランス、一本の線を、一つの文字をどのように表現するのか。

ただ勢いに任せて彫っているわけではなく、

緻密に計算された表現方法から、作品が生み出されていたことが分かりました。

 

〇 ムナカタ・イメージ

国際展での受賞と、戦後の出版ブームの波にのって、棟方のイメージが形成されていった過程に驚きました。

メディアが果たした役割もとても大きかった。

また、棟方自身が自伝を書いたり、写真に撮られたりして、メディアに露出していった結果、「ムナカタ・イメージ」が作られていきました。

今でも、棟方がデザインした包装紙が残っているということは、日本人の心に響くものがあるのだと感じました。

「棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ」の混雑状況

おすすめは、平日の午前中です。
土日祝日は、混雑が予想されます。

混雑時は、チケットの購入時と入場時の2回、列に並ぶことになり、たいへんです。
チケットは、あらかじめ購入しておくことをおすすめします。

「プロローグ」及び「第1章」は小さな作品が多く、作品と作品の間隔が狭いため、混雑してくると、じっくりと見ることができません。

◆ メインビジュアル

《門舞男女神人頌「木花之佐久夜妃」》(1941)

《棟方志功ポートレート写真》(1956)撮影:原田忠茂

巡回情報など

【富山県】(閉幕)

  • 会場 富山県美術館
  • 会期 2023年3月18日(土)~5月21日(日)

 

【青森県】(閉幕)

  • 会場 青森県立美術館
  • 会期 2023年7月29日(土)~9月24日(日)

日曜美術館『棟方志功 板の生命を活かす』/2023年10月8日放送の記事です。ご覧ください。

【日曜美術館‐棟方志功】『棟方志功 板の生命を活かす』/2023年10月8日
海外で数多くの賞に輝き、“世界のムナカタ”と呼ばれた版画家、棟方志功。版木すれすれに眼を近づけて猛烈なスピードで彫っていく棟方。自らの作品を、「版画」ではなく、板の声を聞き、板の命を活かす「板画」だと宣言した。番組では、棟方志功の代表的な版...

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