現在、ロンドンで杉本博司(すぎもと ひろし)の回顧展が開催されています。杉本博司は、写真家、現代美術作家として、50年近く活動しています。日本では、2005年に『杉本博司:時間の終わり展』が森美術館で開催されました。初めて、水平線を撮影した「海景」シリーズの写真を見て感動し、すぐに写真集を買いに走りました。
杉本博司について
杉本博司は大型カメラを用いて、精緻なモノクロのゼラチンシルバープリントの写真作品を制作してきました。
「海景」、「ジオラマ」、「ポートレート」、「劇場」シリーズをはじめ、数々の作品があります。
また、近年では、写真だけでなく、インスタレーションや造園などの幅広い活動にも取り組んでいます。
- 「海景」…世界各地の海を撮影した作品。
- 「ジオラマ」…アメリカ自然史博物館に展示されているジオラマを撮影した作品。
- 「ポートレート」…「マダム・タッソー蝋人形館」に展示されている偉人や有名人たちの蝋人形を撮影した作品。
- 「劇場」…アメリカ各地の古い劇場やドライブインシアターで、映画が一本上映されている間カメラを露光し続け撮影した作品。
- 「建築」…世界各国のモダニズム建築を、フォーカスの焦点を無限の倍にして撮影した作品。
いずれも、モノクロプリントで、白と黒のグラデーションがとても美しい作品です。
現像ムラを抑えるため、自身で制作した現像機を使用しています。
実物は、いつまでも眺めていたくなるような感覚になる作品ばかりです。
海景シリーズの1点が、約3000万円で落札されたこともありました。
いずれも、時間を越えて、現実と虚構、過去と現在が錯綜する作品となっています。
その理由は、全ての作品において、メッセージ性の高いコンセプトと厳格な撮影原則が貫かれているからです。
本展覧会は、これまでの主要作品のすべてを網羅した、最大規模の回顧展になっています。
ぜひ、日本でも開催してほしい展覧会です。
「Hiroshi Sugimoto」の開催概要
■ Hiroshi Sugimoto(杉本博司)
- 会場 ヘイワードギャラリー(ロンドン)
- 会期 2023年10月11日(土)~2024年1月7日(日)
ロンドンへ出かけたら、ぜひヘイワードギャラリーをチェック!
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