「桃紅の書く線」岐阜現代美術館 桃紅館(2024)/墨から生まれる無限の色と線/篠田桃紅の作品を収蔵する美術館がリニューアルオープン!

美術展 国内作家

先日、岐阜現代美術館へ出掛けてきました。岐阜現代美術館は、2024年3月28日に篠田桃紅(1913-2021)の作品を展示する桃紅館を新設しました。ちなみに、3月28日は桃紅の誕生日です。道中、どんな場所なんだろうとワクワクしながら、車を走らせました。建物は、桃紅の作品を思わせる銀と黒の立方体が組み合わされたシンプルな外観。建物の中も、静謐で、落ち着いて作品と向き合える素敵な空間でした。

篠田桃紅ってどんな人?

cmy
cmy

先日、篠田桃紅さんの作品が展示されている、岐阜現代美術館桃紅館へ出かけてきたよ。

ペンちゃん
ペンちゃん

いいねー! 桃紅さんは、どんな絵をかいた人?

cmy
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桃紅さんは、書家から出発して、墨をつかった抽象絵画をかいた人なんだよ。

ペンちゃん
ペンちゃん

ざんしんだねー

cmy
cmy

たしかに。抽象画にチャレンジしたこともそうだけど、桃紅さんが初めて個展を開いたのが1940年。当時、女性が書の個展を開くなんて、かなり斬新なことだっただろうね。

 

篠田桃紅は、1913年に旧満州国大連に生まれました。
帰国後、5歳の時に、書き初めで初めて墨と筆を手にしました。

1940年(27歳)に初めて個展を開催した時には、
「才気渙発だが根無し草」
と酷評されたそうです。

しかし、桃紅の書への情熱は衰えることなくますます強くなり、書の枠に収まらない、自分らしい墨の表現方法を探究しました。

その後、渡米を経て、墨を用いた抽象表現を確立しました。

2021年、逝去。

 

「桃紅の書く線」展の展示構成

この展覧会では、約1,000点の収蔵作品の中から、「線」をテーマにした作品26点が選ばれています。

1階は、「桃紅の書く線」展。
2階は、青山にあった桃紅のアトリエが再現されています(常設)。

※ 桃紅館では、作品のタイトルは掲出されていません。館内で配布されている作品リスト、及び、館内だけでアクセスすることができる桃紅館専用のホームページで確認することができます。ホームページでは、解説も読むことができます。

 

「桃紅の書く線」展のベスト3

素敵な作品ばかりで選ぶのは難しいのですが、
桃紅館で心に残った作品を3点紹介します。

 

ベスト1 《静》(1973)

2m近くある横長の画面。
左側から、ひょっこりと顔を出している薄墨色の矩形。
そして、そこから右側へと伸びるやわらかな数本の曲線。
線のかすかな丸みは、風に揺らいでいるような感じがしました。
線の右端は、思い思いの方向に向いていて、そよ風に吹かれているのかもしれません。

 

ベスト2 《水》(2001)

こちらも横長の作品です。
画面を分割する2本の線。
1本は左側から中央へ走る黒色の線。
黒色の線は、始まりが細く鋭く、揺らぎ無い一直線。勢いよく書かれた線は徐々に太くなり、かすれていきます。

もう一本は、中央よりちょっと左から右へと伸びる鈍い銀色の線。
銀色の線は、滲みをたたえながら、徐々に薄くなり左側の画面の外へ。

その2本の線の上に、細い線が数本重なる。

余白には、川が流れているような感じがしました。

 

ベスト3 《君に》(制作年不明)

こちらは、縦長の作品です。

太い筆で、何度か重ねて描かれた矩形が2つ。
左側は濃い黒色。右側は薄墨色。
この二つの矩形が画面中央で重なり合っている。
そして、稲穂のような、雷のような金色の線が中央を上から下に走る。
画面の右側には、作品を支えるような感じでひと際濃い線。

矩形も、中央の線も桃紅が繰り返し書いてきたモチーフ。
中央の線は、細長く引き延ばした「月」。

ぐっと力強い作品だなーと感じていたら、タイトルは「君に」。
いいですね。

 

☆☆☆ 2階 展示室

2階には、生前、桃紅が使っていた青山のアトリエが再現されています。
外せるもの、動かせるものは全て運んできたそうです。
壁のよごれや、床のたわみまで再現!
そして、青山のときと同じ日差しになるように、部屋の向き、窓の位置も配慮されています。

壁に掛かるのは、200本近くの大小さまざまな筆。
(桃紅は、芯がなく、操りにくい「性のない筆」を好んで使っていたそうです)
無造作に巻かれた様々な紙。
とても大きな硯!
この硯は、かつて書道用品店の看板だったものを手に入れたもの。

この部屋で、墨と筆とのコミュニケーションを楽しんでいたんだろうなー。

墨の香りが漂ってくるような、桃紅が今にも現れそうな素敵な空間でした。

 

「桃紅の書く線」展の開催概要

  • 会場 岐阜現代美術館 桃紅館
  • 会期 2024年7月1日(月)~2024年9月13日(金)
  • 時間 9:30~17:00

 

「桃紅の書く線」展の入場料

  • 一般 500円
  • 高校生以下 無料

 

岐阜県立美術館の場所

岐阜県立美術館は、鍋屋バイテック会社の敷地内にあります。
門を通って、すぐ右手にある円柱形の建物が「大地館」です。現在、大地館では、「荒川修作 Meaning of Colors」展が開催されています。
そして、ちょっと進むと、右手に駐車場、左手に「桃紅館」があります。なんと、鍋屋バイテック会社の住所は、「岐阜県関市桃紅大地1」です。

 

ペンちゃん
ペンちゃん

すみ一色だけで表現するってすごいね~

cmy
cmy

そうだね。シンプルだけど、どの作品からも桃紅さんの情熱が伝わってきたよ。墨から生まれる、無限の色と線が、桃紅さんらしさを形作っていると思うよ。

ペンちゃん
ペンちゃん

なるほどー!

cmy
cmy

とても素敵な場所だったから、ぜひ、行ってみてねー!

ペンちゃん
ペンちゃん

じゃーねー。バイバイ。

◆ おまけ

美濃和紙の里会館へ寄って、紙すき体験をしました。
美濃市は、美濃和紙で知られている土地。
美濃和紙は、1300年以上の歴史があるそうです。

今回、わたしはA3よりもちょっと大きい紙をすきました。
楽しい体験でした!
その場で乾燥させてもらい、持ち帰ることができましたよ。
待ち時間は、30分ぐらい。
館内で、美濃和紙の歴史を学びながら待ちました。

では~。

 

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